今までに基板製作を行ってきた際の、経験から得た値やコツなどをだらだらとまとめたメモです。たぶん、頻繁に更新します。最新の更新は[2008/12/14-0:12]
設計
- 設計CADはEAGLEがお薦め
- エッチング液の消費を減らすため、パターン無し面積が広い場合は、べたパターンで塗りつぶす
- べたパターン(polygon)を使用する際は、isolate値(他の信号線とのクリアランス幅)を適切に設定
- アニュラリング径(EAGLEだと、(Diameter-Drill)/2に相当)を大きめにしておくと作るのが楽
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クリアランスなどを適切に設定したうえで、Design Rule Check(DRC)をかける
- サンハヤトの基板(銅箔35um)なら、最密で0.25mm程度
- 銅箔18umなら、最密で0.15mm弱程度までいける
- 理由は不明だが、同銅箔厚でもMGのほうが細かくできる
- なれるまでは0.3mmくらいにした方がいい
- 高電圧をかける場合は別途検討するべき
- 穴はできるだけ少なくした方が身のため
- サンハヤトの基板は感光層に気泡が入っていたり、ロットによって品質差が激しい
- サンハヤトのスルピンキットは、穴径が大きい物しかなく(min 0.6mm)、コストが高い(1ピン10円+機材)
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基板厚:穴径のアスペクト比が大きい(穴が小さい)と、穴あけ時の精度を高くする必要がある
- 1.6mm厚なら、0.6mm以上がよい(0.4mmもできるが、神経をすり減らす)
- 0.4mm厚なら、0.3mm以下も可能
- スルホールを、銅線両面半田付けで実装する場合、物理的に半田付けができない場所の発生に注意(ピンヘッダ周辺、電解コンデンサなど)
フィルム印刷
- 高品質用のOHPシートを使用する
- レーザープリンタ(BROTHER,Canon,XEROX,Ricohで確認)は、光学系に大きな歪み(1%~5%以上で非線形)があるため、高密度の基板には不適切
- Canonの黒インク(3e,7eシリーズ)は、赤成分がにじむので、印刷したらすぐ使う
- Canonのインク(3e,7eシリーズ)は、若干遮光性が低い気がする
- EPSONのインクは、乾きにくく基板に張り付くため、一度しか使用できない(わざと張り付かせて使用することができる)
- もちろん、プリンタの設定は可能な限り高精細・高濃度にする(にじまない程度に)
- 印刷面を基板につけるように出力する
感光
- 使える光源は、紫外線ランプ(補虫灯・殺菌灯)・日光など
- フィルムを基板にできるだけ密着させて(印刷面は基板につける)、斜め入光によるエッジのボケを減らす
- スティックのりで、基板にフィルムを直接貼り付けるとよい(パターンがつぶれてもよい場所にのり付け)
感光の手法
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密着させるためにガラス板で基板・フィルムをはさんで感光
- フィルムをスティックのりで基板に貼り付けてから、ガラス板ではさむ
- ガラスは3mm厚で50%近く紫外線を吸収するため、露光時間を増やす必要がある(石英ガラスならほとんど吸収しない)
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インクの張り付きを利用して感光
- EPSONのインクなどで、完全に乾く前に基板に押しつけて貼り付ける(補助的にスティックのりを使用してもよい)
- 高密度の場合、熱や圧力によるフィルムの変形に注意
露光用の光源
全て、製造から2ヶ月未満のサンハヤト基板の場合の目安。6ヶ月以上経過している場合は、2倍~3倍にする。
感光後は、フィルムを少しめくってみて色の変化を確かめるとよい。足りない場合は追加で露光する。ただし、サンハヤトの基板はロットによって全く色の変化を起こさないため、見た目は基準にならない。
MG製の場合は、2/3倍~1/2倍くらいにする。
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サンハヤト ちびライト
- ガラス板使用で、15分程度
- ガラス板不使用で、10分弱程度
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10W補虫蛍光灯 距離200mm
- ガラス板使用で、30分程度
- ガラス板不使用で、15分程度
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太陽 晴れ
- ガラス板使用で、5分程度?
- ガラス板不使用で、3分程度?
- 天気・時期によって全然違うので参考にならない。かなり強い。
現像
- 現像液は茶色く変色しても大丈夫
- 銅箔が見えるまで待つ
- 下面の反応が早いので、両面基板は面ごと均一になるよう現像する
エッチング
- 液を40℃弱に暖めておく
- チャック付き袋でやると、片付けが楽
- 袋でエッチングする場合、袋に穴が空くので、必ず基板の角を落としておく
- 服などにつくと落ちにくいので注意
- ラテックス手袋などを使うとよい
- 金属イオンを多く含むので、できるだけ水道に流さない
穴あけ
- 感光層を残して穴あけをすると、銅箔表面を保護できる
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基板が厚く、穴が細い場合、ドリルが斜めに入ると裏面での穴位置が大きくずれる
- 穴の中心に細いキリなどでポンチをつける
- ドリルがポンチ穴に触れた瞬間の刃の歪みを2方向から見て、穴中心に対して正確に垂直にドリルをおろすと、細径ドリルで精度よく穴あけできる
- 0.4mm以下のドリルは斜めに入るととても折れやすいので注意
- 細径ほど、回転数を上げること
- 0.3mmのドリルは落とすと二度と見つからない
- ガラエポは刃の摩耗が早いため、切れ味が悪くなったらすぐ交換しないと精度が出ない
- 細径ドリルを使用する場合や、穴数が多い場合はとにかく精神力勝負
表面処理
- 感光層はアルコールで落とせる
- フラックスを塗って、半田濡れ性をあげるとよい(酸化防止にもなる)
- 酸化防止のため、生銅箔は素手でさわらない
- 必要に応じて絶縁塗料を塗布
絶縁塗料
- 熱硬化性の2液混合樹脂を、シルクスクリーンで塗ると完璧(コスト・手間が大きすぎる)
- 簡易的に、熱可塑性の絶縁塗料を塗るとよい(サンハヤトのハヤコート・ソルダレジスト補修材など)
- パッド・SMDなどのマスキングには、美術用品のマスケットインクを、つけペンで塗布する
ハヤコートの場合
- 湿度が高いと、ピンホールができるので、塗布前と塗布後は、ドライヤーなどで水分を飛ばす
- 重ね塗り1層目は、50%程度に希釈して塗布
- 重ね塗り2層目以降は、85%程度に希釈して塗布
- 乾燥前は導電性をもつため、必ず乾かしてから通電する(常温乾燥なら24時間)
- 重ね塗りは十分乾燥してから行わないと、内層だけ乾燥が不十分になり、導電性が残る
- 厚塗りしすぎると、マスケットインクが剥がせなくなる
- ハヤコート・ソルダレジスト補修剤(どちらも組成は同じ)は、熱に弱いため、半田付け時に注意
- 防湿・絶縁効果はあるが、ソルダレジスト機能は少ない
- ハヤコートとPラックス(サンハヤトのエアゾール式フラックス)は、溶剤が同じなので、上からかけると下のものが溶け出す
その他・免責
各自十分に検証した上で、自己責任で行ってください。
メーカーごとの違いについては個人的に簡易的な調査を行った結果の一例であり、使用環境等によっては結果が異なる場合があります。
あくまでも参考程度に。”感光基板講習会資料メモ”